【レポート】第四回朗読ワークショップ

レポート

4月27日は第四回朗読ワークショップ
「物語の読み深め方」

を行いましたので、そのレポートをお届けしたいと思います。

物語を読み深めるとは?

例えばあなたが、最後まで読んでも面白く感じない小説があるとします。
でも、あなたの友人はその小説について「こんなすばらしい作品いままで読んだ事無い」と絶賛しました。

こういう事は、ままあることですよね。
自分とは感性が違うから、好き好きはあるでしょう。

でももし、これが感性の問題ではなく
「あなたが、その小説の面白さにまだ気付けていない」だけだとしたら
すごくもったいないですよね。

今回は、一つの作品を複数人で読み、
それぞれが抱いた疑問や気付きをシェアしました。

そうすると、自分ひとりでは考えもしないような考え方や捕らえ方に遭遇します。
早速ワークショップの様子をご紹介しましょう。

題材「黄金風景」

太宰治作「黄金風景」は、大家を追われた男が、昔いじめていた女中が再会し、女中がいまでは自分よりも良い暮らしをしている事を知る。
昔の事や今の生活を省みて「負けた負けた」とつぶやくが、海辺で女中が家族と戯れる様子を眺めて、あまりに美しく、自分の怒りがすっと解けていった。

というお話です。
本文は青空文庫でも読めますので良かったら読んで見てください。

今回はこの黄金風景をみんなで読んで、どういう内容なのかを深く読み解いていきます。

まずは読んで見る

文章を区切ってみんなで読んで見ます。
うまく読む必要はありません。文章を声に出して読むというのはそれだけで楽しいんです。
読みわけや、間も関係ありません。太宰治の文章に目と口と耳をつかって向き合います。

読んで見て、感想を聞くとこんな意見が出ました。
「これは男って太宰治の事?」
「女中家族が良い人」
「男はクズだけどちょっと共感できる」
「文章が難しくてよくわからない」

などなど、共通しているのは「一読しただけでも面白い」という事でした。
名作は今読んでも琴線に触れるものがあります。

もう一度読む

一読したときにすこし疑問に思ったことがあります。それは言葉の意味だったり、当時の暮らしに関すること
特に女中の心情は不思議に思う点がいくつかありました。
なので今度はその疑問の答えを探しながら読んで見ます。

そうすると、一読目では見つけられなかった気付きを見つけることが出来ました
「大家だったり病をもったり、すくなからず男には太宰本人がダブってる」
「女中は本当に素直な人なんだろう。家族に嫌味や皮肉はない」
「男は過去の自分をとても嫌ってる。後ろめたく思っている」
「観兵式はパレードみたいなもん」

というように、どんどん答えが埋まっていきます。
自分ひとりでは分からないものも誰かの意見で、または意見が組み合って答えに変わっていく。

一人で黙読するだけだったら気付けなかったであろう疑問や発見に気づきます。
読み深めると言う事がどういうことなのかがわかっていきます。

読み深め真っ最中

チームに分かれて深掘り

今回は「男」「女中」そして「現代版に翻訳」の3チームに分かれてグループセッションを行いました。


「男」チームでは

  • 警官に「幸福ですか」と聞いた理由
  • 舌打ちしながら言う「負けた」と、黄金風景を見ながらつぶやく「負けた」の違い
  • なぜ女中をいじめたのか
  • ほんとに女中のほほを蹴ったのか

女中チームは

  • ほんとにほほを蹴られたのか
  • 男に悪意は抱かなかったのか
  • 女中が男の噂をする理由

などの謎を解明しました。どういう答えを出したかは、参加者の方たちだけの秘密にしておきたいと思います。
ですが、とても興味深い答えが見つかりました。

最後に、「現代版に翻訳」とは何か。
このチームは黄金風景を今風に言い換えるとしたら?に挑戦しました。

  • 女中を家政婦に
  • 観兵式をパレードに
  • 魯鈍をどんくさいに

と色々言葉を分かりやすく変えましたが、結論、最初から書き換えた方が早いということになりました。

まとめ

それらをまとめると、一読したときよりはるかにこの作品への理解が深まった事を実感します。
また、男性女性でも作品に抱く感想は違うようです。男と女中、どちらに感情移入するかの違いかもしれません。

様々な発見があり、この作品に対する理解がまた深まりました。

朗読に関して

これらを朗読に活かすには
まず読み方に作品への理解度が現れると思います。
どういう感情で読むのか、誰が誰に向けて言っている台詞なのかとか

読み手が理解していない文章を、聞き手が理解してくれるわけは無いのです。
だからまず、文章を理解する。その理解が間違っていたとしても
自分がそう読みたいと思ったのならそれで良いと僕は思います。

物語をこれだけ深く読み解けばそれが朗読にも活きてくるんです。
今回は読む時間はいつもより短めでしたが、とても実りある会だったと思っています。

いかがだったでしょうか。
気になった方はぜひ、次回のワークショップにご参加ください!

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